何を捨てて、何を残すか。
その選別はとても難しい。
出来るだけシンプルに生きていきたいと思うようになった今、感謝の気持ちを込めて、ひとつづつ手放すことにしている。
新しい一歩を踏み出すために。

原田知世(女優/歌手)

中学生の時に使っていた文房具と生徒手帳

返し忘れるのがいやなので、出来るだけ人からものを借りないように心がけています。

私にはあまり捨てたいと思うモノがありません。
でもきっと捨てようとしている何か・捨てられない何かと向き合った時、今より少し前に進めるのかもしれません。抱きしめられるだけの小さな幸せと思い出を大切にしたいと思いました。

奈緒(女優)

サイズが小さくなった犬用の服

小さい頃の思い出があるので。

友達のパジャマ

きっとまた泊まりにきてくれると思っているので。

捨てるか、残すか、返すか、売るか……
片付けとは、人生にときおり訪れる「決断の時」だ。
主人公のジーンも、たくさんの決断を迫られている。
いい結果を生むこともあれば、やりきれなさを感じることもあるけれど、ひとつ決断するたびグッと濃くなる人生の陰影は、とても美しい。

トミヤマユキコ
(ライター・東北芸術工科大学芸術学部講師)

完全に時代遅れの服

ちょっとした思い出が邪魔して、「ダサいしもう絶対着ないのに」と思っても捨てられない服があります。まあまあクローゼットを圧迫しているので、いつか捨てたいと思うのですが…難しいです。

ジップロックコンテナー

実家を出てから、母の手作り料理をコンテナ型のジップロックでもらうことが増えました。ついつい返すのを忘れて、まるで自分のもののように使ってしまっています(お母さんごめんね)。

ものを捨てる。それは長らく罪なことだった。
それがこの10年で革新的な思想が広がり、ものを捨てるのはいいことになった。
だけどまあ、人の心は簡単には変われないのだ。

山内マリコ(作家)

古いニット(同じ形のニットが3種類も!)

亡き祖父の海外土産を母から譲り受けたものなので、いろいろ重くて……。毎冬、これがなければ新しいニットをしまえるスペースが空くのだがと思いながら、けっこう着てます。

本!

作家としてのわたしに足りないものを教えてくれようと、さる人物に渡された。その際、彼が「あげる」と言ったのか「貸す」と言ったのか、どうしても思い出せなくて……。なんとなく借りたものな気がしてるんで、捨てずにずっと本棚にあります。

モノに溢れた生活は、心につかえがある証拠。
余計なモノ=ゴミではないし、ミニマリストになる必要はないけど、前に進むためにおろせるモノはおろさないと。
失うことへの恐れに立ち向かう、気持ちの大掃除映画。

よしひろまさみち(映画ライター)

マッサージチェア

重すぎる、搬出できない……。マジで困ってます。

ビデオテープ

ある方からお借りしたビデオ。連絡先を消失し、返したいけど返せなくなってしまいました……。

記憶の断片に一つずつ「。」を打っていく。
断捨離とは、モノに宿る物語を昇華させていくことなのだと思った。
しかし、そう簡単にはいかない。
だからこそ、そこにまた新しい物語が生まれる。

鶴田真由(女優)

写真

もう2度とその時には戻れないから。そして、そこに記憶を巻き戻すための装置となるから。

返しそびれて、そのまま本棚の中に入ってしまっているものがある。

ジーンの目鼻立ちが整理整頓感漂うクールビューティで、彼女を見ているだけで片付けたくなってきます。
部屋を整理するためには、感情の整理が必要だとジーンに教わりました。
自分の周りの環境は内面の反映なのです……。

辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)

大量のCD

もうCDをかける機会はなかなかなくなってしまいましたが、買ったときの当時の思い出が一枚一枚に残っているので捨てられません。ダウンロードデータには感じられない思いです。

2. 寂しいですが人に物を借りたことがほとんどありません。逆に貸したまま返ってこないお金があります……。

何かを片付けようとして、片付けられない物や、過去や、感情に行き当たる。
それに向き合うチュティモン・ジョンジャルーンスックジンの顔が素晴らしかった。

山崎まどか(コラムニスト)

海外旅行の時に使った列車やバスの切符、美術館の入場券、フライヤーなどの紙ものの数々。

中学の時に友だちに借りた高橋悠治と坂本龍一の対談集「長電話」。

また会ったら返そうと思っている。ついでに言うと、今に至るまで読んだ記憶がない。

誰かの成長の物語というだけではない。
家族の物語でもあるし、友達や恋人、世界との向き合い方の物語かもしれない。
のっぽの主人公が頑固なのだけれど、なんだか愛しい。
女同士の向き合い方が、切なくて秀逸であります。

渡辺真起子(俳優)

1. 物は捨てられるかも。関係性は捨てられないです。笑

2. 書籍を返しそびれる事があります。だから借りないようにします。昔はこの作品のように、彼の物など、別れた途端に、まとめて送り返すことが多かったです。いまは臨機応変に対応しています。

想い出も黒記憶も、すべて経験したから“いま”が在る。
振り返り、向き合うのは時に切なく怖いけれど……「過去」は、前に進むための枷(かせ)なんかじゃない。掃くでも除くでもなく、ぎゅっと抱きしめて進もう。
この映画は、心の容量を優しく広げてくれた。

SYO(映画ライター)

ダブっちゃった漫画

当時付き合っていた恋人と別れたときに、お互いの荷物をそれぞれ回収して。その後、向こうが持ってっちゃった漫画をもう一度読みたくて新しく買い直したのですが、そうしたら部屋の隅から1冊だけ出てきたのです……。色々なことを思い出してなんだか切なくなってしまい、その巻だけ2冊並べてあります。

両親からもらったすべて

年齢を経ていくごとに、両親が自分にかけてくれた愛情や恩情、お金がいかに莫大かということを痛感します(しかも現在進行形で続いているわけで……)。その財産で、今の自分があると感じています。ふたりは「返さなくていいよ」と笑うけど、少しでも恩返ししたいなと思っています。

断捨離。断つ、捨てる、離す。
字の如く、全ての物事とお別れできたら、人生はすっきりさっぱり綺麗だ。…でも、それってどうなんだ。
ごちゃついて一生整理のつかない、混沌こそが人生の面白みなのではないだろうか。
そんなことをずっと自身に問いかけてしまう。

枝優花(映画監督・写真家)

かわいいコスメの箱

タッパー

自分の家のと混ざってしまって混乱しているうちに歳月が…

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