スペシャル
リヴュー
加藤 登紀子さん(歌手) 宮本 亜門さん(演出家) タケカワユキヒデさん(音楽家)
「愛することは生きること」
どんなことがあっても、ともに生きていく決意を心の底からすることなのだとパオロが教えてくれた。
実に勇気ある誠実な映画で心打たれました。
誰もが、神が創った愛しい人間であることを改めて教えてくれました。
離れて暮らしていた父と子。
突然会うことになった二人の心が通じ合うようになるまでのプロセスの描き方が素晴らしい。 誰が見ても感動できる映画だと思う。




インタヴュー
ジャンニ・アメリオ監督インタビューより ―父と子について―

私が父と初めて会ったのは、私がすでに17歳のときでした。私が生まれたとき、父は19で母は16歳。
父はすぐにアルゼンチンに移住してしまいました。そして私が成長するまで帰ってこなかった。
私と父との再会は、容易なものではなかったし、幸福なものでもなかった。彼の抱える問題や貧困、両親の若さといったものが理解できるようになったのは、ずっとあとになってからです。そして、私は父親に対してたいへん悪いことをしたと思うようになった。この体験により、私はよりよい息子になることはできなかったけれど、よりよい父親にはなれたと思っています。映画の最後のシーンを息子と一緒に見て、私は泣きました。この映画のなかで、私がいちばん好きな場面です。


人は、パオロのような個性の子どもを見ると、「ハンディキャップを持つ子」という表現をする。では、そのような息子と向き合うことを知らない父親のことを、どのように定義できるのか。待ち望んでいた我が子が「普通 と違って」生まれてきた。そんな現実を目の当たりにした男に、どのようなことが起こりうるのか。現実から逃げ出すか、辛いなかにも喜びのある体験をするか、どちらかしかないのです。
この物語を私のものとするために、このような前提を、極限の帰結へと持っていった。つまり、もうこれ以上逃げることのできないところまで父親を追いつめ、息子と、そして息子の持つ「違い」とに向き合わざるを得なくさせた。これは、私が考えついたことです。
いずれにしても、アンドレア・ロッシ(パオロ)と出会い、1年間、彼と生活を共にするという経験がなければ、この映画を撮ることはなかったでしょう。
映画の中で父親がたどった軌跡は、私自身の軌跡でもあるのです。
インタビュー出典:「Il porto ritrovato」/ 日本語翻訳:関口英子
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