イントロダクション

カナダ・アカデミー賞 主要6部門独占!
世界の映画賞を席捲する、歓びと輝きに満ちた、小さな宝石のような映画!

モントリオールの小学校。
ある冬の朝、教室で担任の女教師が首を吊って死んでいた。
生徒たちはショックを受け、学校側は生徒たちの心のケア、後任探しの対応に追われる。 そんな中、アルジェリア移民の中年男バシール・ラザールが代用教員として採用されることになった・・・。 昨夏、スイス ロカルノ映画祭でプレミア上映され、熱狂的に受け入れられ、観客賞を受賞した、ささやかな、しかし観る者の涙を絞り、魅了してやまなかったその映画は『ぼくたちのムッシュ・ラザール』。 その後も、本国トロント映画祭でカナダ映画賞を受賞、ロッテルダム映画祭での観客賞など快進撃を続け、遂にはアカデミー賞®外国語映画賞にノミネート。カナダのアカデミー賞といわれるジニー賞でも、作品賞はじめ主要6部門を独占、ケベックのアカデミー賞といわれるジュトラ賞でも主要7部門を独占するに至った、名実ともに、2011年のカナダ映画を代表する一本だ。

担任教師の突然の死にゆれる小学校。
どこからともなく現われた、謎の代用教員もまた、深い悲しみを背負っていた…。

カリスマ性があるワケでもなく、朴訥で、少々野暮ったいラザール先生は、授業内容も時代遅れ。しかし、いつも真摯に向き合ってくれる彼に、生徒たちは心を開き始める。だが、ラザールもまた、祖国で心に傷を負っていたことが明らかになり・・・。 これは、一本の傷ついた大木が、風雨に晒される小さな"さなぎたち"を守ろうとする物語・・・。 監督は前作『本当に僕じゃない!』(ケベック映画祭上映時タイトル)がカンヌ映画祭・ジュニア部門でグランプリを獲得したフィリップ・ファラルドー。本作で、ジニー賞・ジュトラ賞で監督賞をW受賞した。人間に向けるあたたかな視線と、キャラクターが内に秘める激しさを掬い取る手腕は、フランスの名匠フランソワ・トリュフォーを彷彿とさせるだろう。 原作は、女優としても活躍するエヴリン・ド・ラ・シュヌリエールの戯曲。プロデューサーは『灼熱の魂』のリュック・デリー、キム・マックルーの二人。同コンビで、二年連続のアカデミー賞®外国語映画賞ノミネート、という快挙を成し遂げた。

「傷ついたのは、子供たちだけじゃない、大人たちもなんだ」。再生に向かって、強く生きようとするすべての人たちへ。

子供が中心になると、人は"子供向け、ファミリー向けの映画"だと考えがち。私は、人生についての映画を作っているだけ」と監督自身が語っているとおり、本作は大人の観客が観てこそ、こころ癒される側面を持っている。
それは、先生たち、生徒たち、すべての役柄に類稀なるリアリティが吹き込まれているからに他ならない。ラザールに扮するアルジェリア出身のフェラグは、本作でジニー賞主演男優賞を受賞。自身も亡命経験を持つがゆえ、複雑な背景を持つ、謎めいたキャラクターに深みを与えることに成功した。
特筆すべきは生徒たち。物語を牽引する二人の子役、物事を前向きに捉えようと努力する、聡明なアリス役のソフィー・ネリッセは、ジニー賞、ジュトラ賞で助演女優賞をW受賞、前任教師の死の原因が、自分にあったのでは?と悩むシモン役のエミリアン・ネロンも、ジュトラ賞助演男優賞を受賞した。
生とは?死とは?そして、人は悲しみをどうやって乗り越えてゆけばよいのか?
冬から春、そして夏へ。ラザール先生の授業が終わるとき、観る者はこころ癒され、やさしさに包み込まれることだろう。