ストーリー

モントリオールの小学校。

ある冬の朝、牛乳当番で早めに登校したシモンは、教室で担任の女性教師、マルティーヌが首を吊って死んでいるのを発見してしまう。シモンから事態を聞いた教師が全校生徒を校内から退出させる中、シモンの同級生アリスもまた、その現場を見てしまう。

 

事件から1週間。
子どもたちはショックを受け、学校側は生徒たちの心のケア、後任探しの対応に追われていた。そんな中、代理教師の募集広告を見て応募してきたアルジェリア系移民の中年男性、バシール・ラザールが教員として採用される。
ラザールはその温和な性格から、早々に子どもたちと打ち解けるのだったが、その授業方式は決して洗練されているものとは言えなかった。円形に並んだ机を直線に配置させたり、子どもにとっては難解なバルザックの古典小説の口述筆記を課したり、古い文法用語を用いたフランス語の授業を行った。ラザールの授業に戸惑いつつも、子供たちは徐々に以前の生活を取り戻していく。

 

とりわけアリスは、ラザールの母国アルジェリアに真っ先に興味を持ち、写真を集めたり、誰よりも積極的に新しい環境を受け入れようとする。しかし、アリスはマルティーヌ先生の「死」が頭から離れなかった。そして、その現実を遠ざけようとする学校側のやり方に疑問を持ち、先生の死を気にしていないフリをするシモンに苛立ちを覚えていた。
一方で、ラザール自身もまた、愛する人々の「死」を乗り越えなければならない立場にあることが明らかになり・・・。