鈴木珠恵 氏(養護学校教諭)
「ナショナル7」のいいところ。それはありのままをそのまま映画にしたところだと思います。
施設・学校の中心は、利用者・児童生徒です。
しかし、利用者・児童生徒をサポートすべき職員・教員が中心となってしまっている現実もあります。職員・教員が自分の考えが正しいと思ってしまったり、規則などで利用者・児童生徒の権利をうばってしまっています。職員・教員がまず念頭におくべきことは、利用者・児童生徒の「幸せ」であるのに…。ひとりひとりの「幸せ」を実現するためにも、利用者・児童生徒の声に、サポート役の職員・教員はしっかりと耳を傾けるべきだと思います。
「ナショナル7」はこの現状を濁すことなくきちんと表現した事で、社会に対しての働きかけをしている質の高い作品だと感じました。この映画に観入った私はジュリに、そしてルネをはじめとした利用者たちに「がんばれ、がんばれ。」とエールを送っていました。きっと観る人全て“ナショナル7・ワールド”に誘い込まれ、エールを送りたくなってしまうことでしょう。また、驚きのラストは感動的!最後まで気が抜けません。

この映画を観終わると、すごく大切な事でもなかなか気付かない事に気付かされます。
この世界に障害者はいなくて、いるのは障害を持った(持たされた)人間だという事に。
キャストと一緒に喜怒哀楽できるこの映画を、多くの方々に観て頂きたいと思います。

藤岡 智 氏(作業療法士)
この映画に登場する人物達は、一癖も二癖もあるような人物ばかり。わがままを言い介護者に怒りをあらわにしたり、時には反抗してハンストを起こしたり。介護者からすると、彼らは、いろいろと問題を起こす厄介者かもしれない。
私は障害を持った人達を相手に仕事をしているが、実際に接してみると、必ずしも素直な人ばかりではない。結構わがままだったり、自分勝手だと思われる人が多い。病院の食事が嫌いだと、お盆をベッドの上でひっくり返す人や、先生や看護婦に不満を持ちリハビリや点滴を拒否する人。でも、それは自分の意見や欲求を訴えるためでって決して、ただ単にわがままや勝手な自己主張をしている訳ではないと思う。

障害を持った人たちも、喜怒哀楽いろいろな感情を持っている。
いろいろな夢もあるし欲求もある。もちろんその中には性欲だってある。健常者の日常生活の中ではなかなか目にすることが出来ないかも知れないが、それが実際の障害を持った人達の姿でもある。この映画ではそういう人達が自然に描かれているように思える。
多くの人がこの映画を見て、障害を持った人達も自分達と同じようにいろいろな考えを持ち、欲求や夢をかなえるために頑張っているということを知って欲しい。










Copyright (C) 2003-2006 ZAZIE FILMS Inc. All Rights Reserved.