ヌーヴェル・ヴァーグの監督たち、それに続くオリヴィエ・アサイヤス、クレール・ドゥニやミア・ハンセン=ラブといった現代の多くの映画作家に影響を与えながらも、日本では2作品が正式劇場公開されただけの映画監督 モーリス・ピアラ。
フランス本国における評価、知名度は、日本と比ぶべくもないほど絶大。没後10年を迎えた本年2月、パリのシネマテークフランセーズでは回顧展も開催され、改めて世界的再評価が高まっているピアラの後期代表作を、スクリーンで堪能する機会です。

上映されるのは、本邦初紹介となったセザール賞作品賞受賞作『愛の記念に』、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した際、賛否両論を呼んだ『悪魔の陽の下に』、日本ではビデオ発売のみの『ポリス』、そして、劇場公開はおろか、ソフト化もされていないピアラの後期代表傑作『ヴァン・ゴッホ』の4作品。特に『ヴァン・ゴッホ』は、映画監督になる前、画家を志していた、というピアラ渾身の作品。ゴッホ生誕160年の今年、その幻の映画を、日本で観ることが出来る至福を、どうぞ味わってください。