菊地成孔氏(音楽家)×川勝正幸氏(エディター)
スペシャル・トークショー レポート!


10月29日(土)に、音楽家の菊地成孔さんと、菊地さんの大ファンでもあるエディターの川勝正幸さんのトークショーが、渋谷シネ・アミューズで開催されました。
まずは、菊地成孔さんのブコウスキー体験談から始まりました。当時付き合っていた彼女に誘われて『バーフライ』、そして数年後には、別の彼女と『冷たく冷えた月』を観にいったそうですが、いずれも不機嫌なデートになったとのこと(笑)。
また、菊地さんが最初に活字のブコウスキーに触れた『くそったれ!少年時代注1』についても、チャイルド・アビューズや、彼のコンプレックスについて強く書かれているけれど、大柄なブコウスキーが羨ましいと思い、共感出来なかったそうです。そういった意味で、あまりブコウスキーに思い入れのなかった菊地さんですが、親友のジャズピアニスト南博さんに薦められて読んだ『詩人と女たち注2』によって、気持ちが一転されたそうです。


菊地氏談
「ブコウスキーの描くSEXが自分のするSEXと違うんですよ。彼は大男のくせに、SEXに対する恐怖感があって、そこがかわいい。もてることに恐れないところがいいなと思いました。」

川勝氏談
「僕も、中川五郎さん訳の『詩人と女たち』から入っていったんですけど、日本で言うと金子光晴さんに似た感じで、老いても盛んなところにはまっていきましたね。」

お二人とも、ブコウスキー作品のお気に入りは『詩人と女たち』とのことでした。
また、『ブコウスキー:オールドパンク』では、友人や、彼を愛した人々から多くのインタビューを取っていますが、中でも、『死をポケットに入れて注3』で、ブコウスキーに失礼なことを書かれたボノ(U2)が、彼について律儀に賞賛しているところや、朗読会の映像が貴重だったなどと作品の見所などを語って頂き、楽しいトークショーとなりました。



注1:『くそったれ!少年時代』(中川五郎訳、河出書房新社、1995/河出文庫、1999)
注2:『詩人と女たち』(中川五郎訳、河出書房新社、1992/河出文庫、1996)
注3:『死をポケットに入れて』(中川五郎訳、河出書房新社、1995/河出文庫、2002)

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