リチャード・リンクレイター監督の『ヌーヴェルヴァーグ』の公開に合わせ、様々なジャン=リュック・ゴダール映画の特集上映が組まれているが、まさにヌーヴェルヴァーグ期のエッセンスとも言うべき、アンナ・カリーナをヒロインに配した『女は女である』、『女と男のいる舗道』、『はなればなれに』の3作品を選りすぐってお届けするのが、この「エッセンシャル・ヌーヴェルヴァーグ」だ。
エッセンシャルというだけあって、この3作品は、あまりにもヌーヴェルヴァーグ的な、女性1×男性2の三角関係を描いた作品が2作(『女は女である』と『はなればなれに』)もあり、『女は女である』は、男性の方もこのシーンを象徴するジャン=クロード・ブリアリとジャン=ポール・ベルモンドがキャスティングされ、『女と男のいる舗道』は、ヌーヴェルヴァーグの中でも、「セーヌ左岸派」が提唱した「シネマ・ヴェリテ」というスタイル(ドキュメンタリー形式)を取り入れてもいるのだ。
また、この3作は、ゴダール×カリーナ映画であるだけでなく、この時期、一作ごとに映画音楽家を代えていたゴダールが、3作も長編映画の劇伴を任せたミシェル・ルグランとのコラボ作品にもなっている。そういう意味では、ルグランのウキウキするようなスイングやツイストやマジソンで踊るキュートなカリーナも観られるのだ。
いや、それだけではない。この3作の中で唯一のカラー作品である『女は女である』なら、『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』で名高いベルナール・エヴァンとジャクリーヌ・モローのポップな美術と衣装が最高だし、『女と男のいる舗道』なら、カリーナが『裁かるゝジャンヌ』を観ながら涙を流す、あの崇高なるクローズアップや、『はなればなれに』なら、今やショート動画のミームと化した、メインキャストの3人がルーヴル美術館を駆け抜けるシーンなど、その見どころは語り尽くせないほどだ。
『ヌーヴェルヴァーグ』でも描かれているように、そのシーンに集った誰もが何か新しいことをやりたいと、熱に浮かされたように思った時代。この3作品にも、間違いなくその熱量が感じられることだろう。[小柳帝]
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